バンライフ日本漫遊記

バンで車中泊しながら旅をしてます、アウトドアや車中泊生活のコツなどを紹介

【雑記】渋柿と生き方とハーレム

 

旅をしている

 

 

去年からキャンピングカー仕様に改造したバンで日本中をまわっているのだ

 

 

各地で美術館や記念館を見たり、有名らしい神社を参拝したり

いわゆる名物観光をしていたが、それも一年も続けていると流石に飽きてくる

 

 

 

だからバイトをはじめた

 

 

 

「体を動かす」のと「自然に触れる」のが

すごく好きな僕が行き着いたのは農業バイト

 

 

3日間、長野の渋柿農家さんでバイトさせていただくことになった

オーナー夫妻は旦那さんが日本人、奥さんがイギリス人だ

 

イギリス人と言っても「だもんで〜」と方言が溢れるほど、日本語がお上手

 

 

 

あとは僕と同じようにバイトで来ている女性が1人

「シルバー」と言う高齢者向けの派遣会社から女性2〜3名

オーナーの知人の女性が2〜3名

 

 

つまり僕以外は女性だ

ハーレムと言っても過言ではない

ちなみに平均年齢は目測65歳

 

 

経験と知識の詰まったお姉様たちのハーレムなんて最高じゃんか!

 

 

 

与えられた作業は渋柿の収穫、選果、皮剥き、吊るしがメイン

すごく楽しい

すごく疲れもするけど それも含めてすごくすごく楽しい!

 

仕事でエネルギーを発散できるのが気持ちいいのだ

風呂が気持ちよくてぐっすり寝れる

 

 

この農家さんは福利厚生も素晴らしく

10時と15時の中休みにはドリンク飲み放題+お菓子食べ放題なのだ

お菓子のセレクションも渋い アスパラガスビスケット、ほし芋、ピオーネ(葡萄)、今川焼き、カレーせん、などなど 最高じゃんか

 

 

休憩中は絶えずお姉様方の会話が飛び交う

 

「鳥の胸肉ってどうやって柔らかくしてる〜?」「アタシ塩麹!」

「最近出来たメガドンキなんでも売ってるけど、『どーんどーんどーんどーんきー♪』ってBGMが煩くてうちのおじいさんが行くの嫌がるのよ〜」

地震は私がいなくなってから(この世から)なら来てもいいわ〜」

 

などなど同世代と居たら聞けないような話題が尽きない 最高!

 

 

その中でもこの数日間だけで特に僕の記憶に残った方が居た

ここの柿農家に14年間も手伝いに来続けている 74歳のHさん

 

大阪出身なので、言葉の中に関西のイントネーションが見え隠れしている

品があって、落ち着いていて、そうそう動じなくて、自分のタイミングで話す人

惹かれるのは少し自分の母に似ている部分もあったからかもしれない

 

 

バンライフで旅をしていると言う話を皆にしたあと

昼休憩中にHさんが興味を持って僕のバンの中を覗きに来た

 

Hさん「見てもいい?」

僕「どうぞどうぞ」

Hさん「まあ〜、すごいわねえ…」

 

とても褒めてくれた

本当のことしか言わない人に褒められるとなんだか無性に嬉しい ぐへへ

 

そしてバンの中を一通り見回しながらHさんは感慨深く

「こんな生き方もあったのかもしれないわねえ〜」

と言い、ありがとうと言い残し、作業に戻っていった

 

 

「こんな生き方もあったのかもしれないわねえ」

 

それを聞いてまだバンの中に居た僕はなんか、なんも言えなかった

 

 

多分そんな深い意味で言った訳じゃないと思う

ただ、僕の中でその言葉を大切にもう一度考えようと思って

その後何度も思い返した

 

 

74歳の女性が呟いた 「こんな生き方もあったのかもしれない」

 

 

もう自分にはこんな事をする時間や体力や精神的な余裕は残されていない、という諦観

こういった生き方をもし過去していたら今頃自分はどうなってたんだろう、という想像

自分の生きてきた人生は素晴らしいモノだった、という誇り

 

 

そんな風に僕は勝手に感じてしまった

本人はそんなつもりじゃないかもしれないし

文字にするものでもないのかもしれないけど

 

 

自分の中で勝手に受け止めて勝手に大事にしました すんません Hさん

 

 

人は自分の人生しか生きることは出来ない

当たり前の事なんだけどね

 

 

でもきっとどんな人生を選んだって全部大正解

だったらまあ自分の好き勝手に生きよう

 

 

バイトをして良かった

 

 

またやろう

 

 

Hさん、あなたが諦めて、想像して、きっと自分の人生を誇りに思えた

「こんな生き方」を僕今やってます

 

 

またいつか会えた時には「あら、まだやってたの〜いいわね〜」って言われたいなあ

 

吊られる前 ひしめく渋柿 ゴロゴロと

 

 

 

ひるね